こんにちわ、爪川です
今回の記事では特に機材などがなくても行える首のテスト方法について見ていこうと思います
脳振盪の症状や慢性的な症状では首が強く関わる場合もあり、首が適切に機能しているかをチェックするのは非常に重要です
脳振盪:首に関わるチェック方法のまとめ
この記事で見ていくテスト方法は以下の5つです
- Alar Ligament Test
- Sharp Purser Test
- Vertebral Artery Test/Extension Rotation Test
- Smooth Pursuit Neck Torsion Test
- Deep Neck Flexor Endurance Test
※可動域と筋力のチェックも現場では行いますが、それはここでは省いています
Alar Ligament Test
Alar ligament testでは後頭骨(C0)と軸椎歯突起(C2)に付着している翼状靭帯の機能をチェックします
翼状靭帯は「上位頚椎の回旋と側屈」を制限します(参照資料3)。また、「回旋時の運動軸の形成」にも関わっていると考えられます
Alar ligament testではC2の棘突起を固定した状態で後頭部を左右に側屈し、可動域やEnd Feelの左右差をチェックします。回旋も同様に行います
Sharp Purser Test
Sharp Purser testでは環椎(C1)と軸椎歯突起(C2)に付着している環椎横靭帯の機能をチェックします
環椎横靭帯は「頚椎の屈曲」「C2に対するC1の前方移動」「C1に対するC2の後方移動」を制限します(参照資料3)
Sharp Purser testでは頚椎を軽度屈曲位した状態でC2棘突起を固定、その状態で頭部を後方にスライドさせるように押します。この時に過可動性やクリック音などの有無をチェックします。また軽度屈曲位で症状を誘発し、頭部の後方スライドで改善した場合も、環椎横靭帯の構造に異常がある可能性があります
Vertebral Artery Test/Extension Rotation Test
Vertebral Artery Testでは椎骨動脈の状態をチェックします
Vertebral Artery TestはExtension Rotation Testとも呼ばれています
椎骨動脈はC1〜C6の横突起にある横突孔を通って脳に向かいます
通常では上の動画のように仰向けになって行いますが、座った状態で行う修正版もあります
このテストで症状の誘発や眼振などが確認出来れば陽性となります
Smooth Pursuit Neck Torsion Test
Smooth Pursuit Neck Torsion testでは眼球運動と頚椎の回旋運動を組み合わせた検査です
この検査ではパスート(追跡眼球運動)を頚椎正中位と回旋位で行い、回旋位のみで症状の誘発があった場合では頚椎の関与を示唆します
Deep Neck Flexor Endurance Test
Deep neck flexor endurance testでは頚椎深部屈筋群の持久力を検査します
基本的には仰向けで顎引いた状態から頭は2.5cmほど上げ、その状態を維持できる時間を計測します
あくまで目安程度ですが、健康な成人男性では約39秒、健康な成人女性では約29秒が基準値と報告している研究もあります(参照資料10)
まとめ
今回のまとめです!
- 特別な器具など使わずに行える頚椎のテスト
- Alar Ligament Test→翼状靭帯のチェック
- Sharp Purser Test→環椎横靭帯のチェック
- Vertebral Artery Test/Extension Rotation Test→椎骨動脈のチェック
- Smooth Pursuit Neck Torsion Test→動眼機能と頚椎の関与のチェック
- Deep Neck Flexor Endurance Test→頸部深部屈筋群のチェック
- 上記のテストと通常の問診や身体評価(可動域、筋力、etc.)に基づいて頚椎の状態を大まかに理解することも脳振盪後では重要です
参照資料
1 ネッター解剖学アトラス原書第5版 p.23
2 Physiotutors: Alar Ligament Stress Test | Upper Cervical Spine Instability
4 ネッター解剖学アトラス原書第5版 p.23
5 Physiotutors: Sharp Purser Test | Transverse Ligament Integrity
6 ネッター解剖学アトラス原書第5版 p.22
7 Physiotutors: Extension Rotation Test | Vertebrobasilar Insufficiency (VBI)
8 PTP621 2014: Modified Vertebral Artery Test
9 Physiotutors: Smooth Pursuit Neck Torsion Test (SPNT) | Cervicogenic Dizziness
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