こんにちわ、爪川です
今回の記事では「頭の怪我の後に慢性的に続く頭痛」と「大脳白質病変と微小脳出血」の関係について調べて研究を見ていこうと思います
慢性外傷後頭痛:大脳白質病変と微小脳出血との関係
大脳白質病変と微小脳出血とは?
大脳白質病変(だいのうはくしつびょうへん)とは、大脳の白質部分での血の巡りが悪くなることで起こる変化です(参照資料2)
白質とは神経細胞の中で電気信号を送り合う電線のような部分です
微小脳出血(びしょうのうしゅっけつ)とは、その名の通りで脳内にわずかな出血が起きた痕跡のことです
微小脳出血は多くの場合は無症状で、いつの間にか起きていた出血がMRIなどの画像撮影で事後にわかります(参照資料3)
研究概要
今回見ていく研究の内容では、軽度頭部外傷を受傷したグループと健康なグループの脳をMRIで撮影し、大脳白質病変と微小脳出血の状態を比較しています
- 被験者
- 慢性外傷後頭痛グループ:軽度頭部外傷を1年以上前に受傷し、慢性外傷後頭痛と診断された男女97名(平均年齢35.8歳)
- 比較グループ:健康な男女96名(平均年齢35.9歳)
- MRI撮影
- 脳のMRI画像を撮影し、大脳白質病変と微小脳出血の有無、数、位置を調査
- 大脳白質病変についてはFazekas分類を使用
- 脳のMRI画像を撮影し、大脳白質病変と微小脳出血の有無、数、位置を調査
研究結果
- 慢性外傷後頭痛グループと比較グループでは大脳白質病変も微小脳出血でも有意な差はなし
- 大脳白質病変
- 慢性外傷後頭痛グループでは97名中、43名で確認
- 比較グループでは96名中、48名で確認
- 微小脳出血
- 慢性外傷後頭痛グループでは97名中、3名で確認
- 比較グループでは96名中、3名で確認
この結果が示すように、慢性外傷後頭痛がある被験者と健康な被験者の間には大脳白質病変と微小脳出血の有病率に差はありませんでした
まとめ
今回のまとめです!
- 慢性外傷後頭痛がある患者と健康な群を比較した場合、大脳白質病変と微小脳出血の発生率には差はない可能性が高い
参照資料
1 Ashina H, Christensen RH, Al-Khazali HM, Iljazi A, Tolnai D, Eigenbrodt AK, Larsson HBW, Schytz HW, Lindberg U, Amin FM. White matter hyperintensities and cerebral microbleeds in persistent post-traumatic headache attributed to mild traumatic brain injury: a magnetic resonance imaging study. J Headache Pain. 2023 Feb 24;24(1):15. doi: 10.1186/s10194-023-01545-w. PMID: 36823546; PMCID: PMC9951434.
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