こんにちわ、爪川です
今回の記事ではVOMSの結果と脳振盪後から回復する期間の関係性について参照文献を参考に見ていこうと思います
VOMSの結果とリカバリー期間
VOMSとは?
VOMSとはthe Vestibula Ocular Motor Screening toolの略で、身体のバランス感覚を司る前庭機能や目の動きを簡易的にチェックするテスト方法です
脳振盪後では頭痛やめまいといった症状も起こり得ますが、バランス感覚の低下や目の機能低下なども起こり得ます
そういった症状や状態のチェックツールとしてはSCAT5が一般的ですが、VOMSを用いて前庭機能や眼球機能もチェックされる場合が多いです
VOMSでは7つの項目があり、それぞれで目の動きや反射をチェックします
VOMSの7つのチェック項目
- 追跡眼球運動
- サッカード 水平
- サッカード 垂直
- 輻輳 近点
- 前庭動眼反射 水平
- 前庭動眼反射 垂直
- 視覚運動感度テスト
VOMSに関してはこちらもご覧ください
脳振盪からのリカバリー期間
脳振盪からの回復する期間は個人差がありますが、成人であれば約2週間、子供であれば約4週間で7-8割の方が回復すると言われています
ただし、脳振盪を何回も繰り返している、脳振盪受傷時の症状が強い、ADHDなどの診断歴がある場合は、回復までに時間がかかると言われてます
この回復期間というのを予測するのは難しいのですが、今回見ていく研究ではVOMSのテスト結果と回復期間の関係について調査しています
VOMSの結果と脳振盪からのリカバリー
この研究は2012-2022年に発表された論文の中からVOMSの結果と脳振盪からの回復期間に関する18本の文献をまとめたものです
結論から言ってしまうと、VOMSで異常(症状の悪化か誘発など)があった場合、なかった場合と比較すると脳振盪からの回復が遅れる可能性が高いです
VOMSで異常(症状の悪化か誘発など)があった場合、なかった場合と比較すると脳振盪からの回復が遅れる可能性が高い
18本の文献では被験者はほとんど20歳以下で、VOMSは受傷時か初診時に実施しています
またほとんどの文献では脳振盪からの通常の回復期間を28日前後で設定し、それ以上では「長期化」としています
ここからはもう少し詳しく研究結果を見ていきます
初回の検査でスムーズパスートが陽性だった場合、脳振盪からの回復が長期化する場合があります(OR:1.5)
サッカードに関しては、それによって誘発される症状の具合が強い場合は長期化となる可能性が示唆されています
輻輳近点の異常もリカバリーの長期化に繋がると示唆されています
前庭動眼反射に関しては相反する結果が出ており、回復が長引くとことを示唆した論文もあればそうでない論文もありました
視覚運動感度テストに関しても、それが陰性だった場合と比較して、陽性であれば脳振盪の回復期間が30−90日以内になる確率が1.23倍になると言われています
またVOMSが陰性だった場合では、脳振盪からの回復は通常の期間に収まる可能性が高いと報告した文献もありました
まとめ
今回のまとめです!
- VOMSが陽性だった場合、脳振盪からのリカバリー期間は通常(成人2週間、子供4週間)よりも長期化する可能性が高い
- VOMSの項目によってはリカバリー期間との関係性に差がある
参照資料
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