SCAT5とChild SCAT5の違い

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こんにちわ、爪川です

今回の記事では脳振盪評価ツールである「SCAT5」と、その小児版である「Child SCAT5」の違いについて見ていこうと思います

SCAT5とChild SCATの違い

SCAT5とは?

SCAT5とはSport Concussion Assessment Tool Edition 5の略で、2016年にベルリンで行われた国際脳振盪学会で従来のものから更新されました(参照資料1)

参照資料1

SCAT5はスポーツ現場や病院などで脳振盪の症状をチェックする際に最も用いられる評価ツールの1つかと思います

Child SCATとは?

Child SCAT5はSCAT5の小児用です

参照資料2

SCAT5の対象年齢が13歳以上に対して、Child SCAT5の対象年齢は5-12歳です

SCAT5とChild SCAT5の違い

SCAT5とChild SCAT5には大きな違いがいくつかありますので、それらを以下の箇所です

  • マドック質問票の有無
  • 症状の数と強度
  • 保護者から見ての症状の報告
  • 片足バランスの制限
  • 文字を読めない場合の対応

ここからは上記の違いについて見ていきます

マドックテストの有無

マドック質問票(Maddocks Questions)は

・場所はどこか?

・今は前半か?後半か?

といったようなことを聞く検査です

SCAT5ではこのマドック質問票が含まれていますが、Child SCAT5では取り除かれています

参照資料1
参照資料2

左がSCAT5、右がChild SCAT5です

左ではstep3の所にMaddocks Questionsが入っていますが、右ではその部分にGlasgow Coma Scaleが入っており、Maddocks質問票は含まれていません

症状の数と強度

脳振盪では頭痛やめまいといったさまざまな症状が発生します

その為、SCAT5では合計23個の症状に関してその有無や強度が確認されます

そしてSCAT5ではそれぞれの症状の強度を0-6の7段階で表します

0は全く症状がない状態、6がもっとも症状がひどい状態です

下の表がSCAT5で用いられるものです

参照資料1

ですがChild SCAT5では確認される症状の数は合計で21個、症状の強度も0-3の4段階で分かれます

下の表がChild SCAT5に含まれるものです

参照資料2

また、Child SCAT5では症状の説明も子供がわかりやすいような「話し言葉」が使われています

保護者から見ての症状の報告

Child SCAT5では子供自身からの症状の報告の他にも、保護者やコーチなどからの症状の報告を記載する欄があります

この症状も子供が報告するのと同様に、症状の数は21個、症状の強度は0-3の4段階で評価します

Child SCAT5では左に子供自身からの症状の報告、右に保護者などからの症状の報告を記載します↓

参照資料2

片足バランスの制限

SCAT5でもChild SCAT5でもバランス能力を検査するために、非利き足だけで立ち、目を閉じて20秒間バランスを保つ検査があります

ただしこの検査はChild SCAT5の場合は10-12歳の子供のみが対象となっています

下の写真、Balance ExaminationのSingle leg stanceの箇所に年齢制限がある記載があります

参照資料2

読む能力が十分でない場合の対応

子供の場合はまだ読む能力などが十分に出来ない場合が考えられます

先ほど出てきた脳振盪の症状や強度を報告する検査では、子供自身が検査用紙に書いてあることを読み上げて、その強度に関する数字にチェックをする必要があります

この「症状を読み上げる」といったことも検査の一部ですが、それが難しい場合、Child SCAT5では補足として写真に写っている情景を表現するというやり方があります

下の写真内にある画像(少女とおじいさんの写真)を見て、その情景を表現します

参照資料2

まとめ

今回のまとめです!

SCAT5Child SCAT5
対象年齢13歳以上5-12歳
マドック質問票ありなし
確認される症状の数2321
症状の強度の段階7段階(0-6)4段階(0-3)
保護者からの症状の報告なしあり
片足バランスの年齢制限なしあり(10-12歳のみ対象)
症状が読めない場合の代替案なしあり(写真の情景を表現)

参照資料

1 Echemendia RJ, Meeuwisse W, McCrory P, Davis GA, Putukian M, Leddy J, Makdissi M, Sullivan SJ, Broglio SP, Raftery M, Schneider K, Kissick J, McCrea M, Dvořák J, Sills AK, Aubry M, Engebretsen L, Loosemore M, Fuller G, Kutcher J, Ellenbogen R, Guskiewicz K, Patricios J, Herring S. The Sport Concussion Assessment Tool 5th Edition (SCAT5): Background and rationale. Br J Sports Med. 2017 Jun;51(11):848-850. doi: 10.1136/bjsports-2017-097506. Epub 2017 Apr 26. PMID: 28446453.

2 Davis GA, Purcell L, Schneider KJ, Yeates KO, Gioia GA, Anderson V, Ellenbogen RG, Echemendia RJ, Makdissi M, Sills A, Iverson GL, Dvořák J, McCrory P, Meeuwisse W, Patricios J, Giza CC, Kutcher JS. The Child Sport Concussion Assessment Tool 5th Edition (Child SCAT5): Background and rationale. Br J Sports Med. 2017 Jun;51(11):859-861. doi: 10.1136/bjsports-2017-097492. Epub 2017 Apr 26. PMID: 28446452.

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