脳振盪への栄養戦略⑤

リハビリ

はじめに

※この記事は以前noteに掲載したものです

こんにちわ、爪川です

スポーツ中の脳振盪:栄養面からのサポート、この連載企画もついに最終回となりました(ついにと言っても5回しかやってませんが)

初回の時に4−5回連載したら最後はまとめ編を出そうかとも思ったのですが、前回の記事でよく出てくる栄養素を網羅しているので、まとめ編はなくてもいいかなと思っています

ですので、最終回の今回は今までの論文で出てこなかった栄養素に関して記載がある記事を見つけたので、それについてまとめたいと思います

脳振盪への栄養戦略⑤

今回の参考にする文献はこちら↓

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2016年に出版された物で、今までご紹介した文献では一番古いものとなります

この文献内では7つの栄養素について脳振盪との関係性を言及していますが、今までの記事で扱っていない5つの栄養素についてご紹介したいと思います

5つの栄養素
  1. クルクミン
  2. レスベラトロール
  3. メラトニン
  4. クレアチン
  5. コガネバネ

クルクミン

クルクミンとはウコンに含まれるファイトケミカルの一部です

ファイトケミカルとはかっこいい名前ですが、英語では「phytochemical」であって「fightchemical」ではありません(自分はfightの方かと思ってましたが、、、)

このファイトケミカルとは”植物中に存在する化合物”のことだそうです(wikipediaより)

動物実験レベルでは脳振盪受傷前にクルクミンを摂取させると、受傷後のバランス感覚の改善などの効果が示唆されました

脳振盪受傷後のクルクミンの摂取も細胞膜の機能、ホメオスタシスの回復、神経の可塑性、シナプスの可塑性、神経間のシグナルなどを改善し、さらに神経炎症も低下させることが示唆されています

ただし、人間を対象とした実験はまだ行われておらず、クルクミンがどのような効果があるかは未だ不明です

レスベラトール

レスベラトールとはあまり聴き慣れない名前ですが、これはワインなどに含まれるポリフェノールの1種です

ワイン・植物・ナッツに多く含まれており、抗酸化作用や神経変性疾患に対しての細胞保護作用の働きもあります

2つの動物実験では脳振盪受傷後にレスベラトールを摂取させたところ、細胞のオートファジーやアポトーシスを減少させ、細胞の生存率を高めたとの報告があります。この実験では細胞の生存率の他にも、運動機能、空間認知、行動なども改善したことも示されました

人間を対象として研究も行われていましたが、その結果は参照論文が発表された時点では公表されてはいませんでした

メラトニン

メラトニンは脳の中の松果体という場所で生成されるホルモンで、1日のリズム・体内時計をコントロールしています

このメラトニンも細胞保護の働きをすることがわかっています

動物実験レベルではメラトニンが脳浮腫(脳の腫れ)と頭蓋内圧(脳への圧力)を低下させることが示されています。この他にも酸化ストレス指標の低下、活性酸素によるダメージの緩和、炎症促進物質の減少なども報告されています

脳振盪への効果に対する研究は人を対象とした段階ではまだ行われていません

クレアチン

クレアチンは筋量を増やす為のサプリメントとしてよく知られていますが、脳振盪の治療効果もあるのではないかと言われています

クレアチンは体内のエネルギーであるATPを生成する時にも使われます

脳振盪受傷後は脳内のエネルギーの需要と供給のバランスが崩れますので、エネルギー生成に関わるクレアチンを摂取することは理論的には脳へのエネルギー供給を手助けすることになります

実際に脳内のクレアチンの量を脳振盪受傷前と受傷後で比較したところ、受傷後の方が低下することがわかっています

中〜重度の頭部外傷を負った子供を対象とした研究では、受傷後にクレアチンを摂取したところ、認知能力・コミュニケーション・人格・行動などが改善され、頭痛・めまい・疲労感などが低下したとの報告もあります

ただし、これらの研究はクレアチンを長期にわたって摂取した場合に確認されたことです。多くの脳振盪は2週間程度で回復する為(大人の場合)、どこまでクレアチンが脳振盪に対して効果があるかは不明です

コガネバネ

コガネバネとはハーブの一種で、3つのフラボノイドを含んでいます(フラボノイドとはポリフェノールを5つの大きなグループに分類した時の1つのグループ名です)

この3つのフラボノイドはバイカレイン・バイカリン・オウゴニンで、漢方によく使われる物質です

試験管内での実験ではコガネバネが酸化ストレスとアポトーシスを低下させることが示されています

動物実験レベルでも頭部外傷後のコガネバネの摂取は脳浮腫の低下、炎症指標の低下、細胞死の低下、及び全体的な神経機能の向上が示されています

ただし、この論文が発表された時点ではコガネバネが人間の脳振盪にどう効果があるのかの研究結果は出ていません

まとめ

今回のブログではこのシリーズでご紹介していなかった栄養素について見てみました

この5回のブログ記事やそれに関する論文を見返してみると、オメガ3脂肪酸(DHA)やビタミンD辺りはどの文献にも出てくるような非常に研究が盛んな栄養素かなと感じました

もちろん脳振盪は「これらの栄養素を取ればいい!」というわけではなく、適切な診断・リハビリ・個々人へのサポートが最初にあり、それにプラスアルファで栄養面でのサポートと現段階では考えています

「スポーツ中の脳振盪:栄養面からのサポート」の連載はこれで一旦終了しますが、こんな感じの連載企画もまたいつか始めたいと思います

それでは今回も最後までお読みいただきましてありがとうございました

参照文献

Ashbaugh A, McGrew C. The Role of Nutritional Supplements in Sports Concussion Treatment. Curr Sports Med Rep. 2016 Jan-Feb;15(1):16-9. doi: 10.1249/JSR.0000000000000219. PMID: 26745164.

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