高校生・大学生への脳しんとうが与える学業への影響

文献など

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この記事は以前noteに掲載していたものです

脳震盪の症状はさまざまですが、その多くは「外からは見えにくい」ものです

それは例えば頭痛、吐き気、めまいであったり、集中力が続かない、寝付きが悪い、イライラするなど本人の感じることと周囲が見てわかるものに差があります

そのような悩ましい症状の脳震盪からスポーツに復帰する際、メディカルスタッフなどによって適切にリハビリの負荷をコントロールされながら復帰します

ですが脳震盪の影響はスポーツだけではありません

脳震盪は脳の機能低下を起こしますので、学生にとっては学業への影響もあります

それは例えば授業に集中できない、うまく文字が読めない、教室に入ったり人が多いところでは気分が悪くなるなどです

それゆえ学生の場合は学業への復帰をまず行ってからスポーツに復帰していくこととなります

今回ご紹介する文献はスポーツ中に脳震盪を受傷した高校生と大学生を対象として、「どの程度脳震盪が学業に影響があるのか?」「学業への影響は高校生と大学生で違いはあるのか?」を調べています

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被験者・実験方法

・高校生と大学生で直近1年以内のスポーツ中に脳震盪を受傷した方
・高校生59名(男34名、女25名)、大学生71名(男31名、女39名)
・学生に対してアンケートを実施
・アンケートでは「授業中に感じた脳震盪の症状」、「学業への影響」、「授業中に脳震盪の症状が起きるもしくは悪化するまでどの程度時間がかかったか」を聞いた
・学業への影響は「計算、読み、書き、PCやプロジェクターを見る、教師に集中する」の5つの項目で脳震盪受傷後にそれらを行うのにどう感じたかを採点形式で聞いた(1:非常に難しい、2:多少難しい、3:どちらでもない、4:多少簡単、5:非常に簡単)

結果

・授業中に感じた脳震盪の症状は比率の高いものから、頭痛(90%)・うまく集中できない(76%)・光に敏感になる(57%)・ボーとする(54%)(カッコ内の数字はその症状を感じた学生の比率、例10人中9人は授業中に頭痛を感じた)
・学業への影響は以下の通り

計算 高校生2.00、大学生2.53
読み 高校生2.25、大学生1.89
書き 高校生2.84 大学生2.72
PCやプロジェクターを見る 高校生2.06 大学生1.68
教師に集中する 高校生2.18 大学生1.94

・高校生は大学生と比較すると計算を行うのがより難しいと報告
・大学生は高校生と比較すると読みとPCやプロジェクターを見ることが難しいと報告
・授業中に脳震盪の症状が起きるもしくは悪化するまでの時間は、年齢が若くなるにつれて短くなった

まとめ

スポーツ中の起こった脳震盪はスポーツだけでなく、学業にも影響します

今回の文献では学生の多くは授業中に症状を感じたり、科目によっては難しいと感じることが明らかにされました

そして年齢が若いほど授業中に脳震盪の症状が起きる、もしくは悪化する時間が短くなるという結果が出ました

これは若年層の脳はまだ発達段階であり、脳の負荷に対する耐性が低いということも考えられます

これらのことより、脳震盪後は段階的にスポーツ復帰するだけでなく、学業にも段階的に復帰していくことが子供達の脳を保護するのに役立つと考えられます

本日も最後までお読みいただきましてありがとうございました

参照文献

return to learn: academic effects of concussion in high school and college student athletes.pdf

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