ワールドラグビー:脳振盪からの競技復帰プロトコルの変更点

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はじめに

こんにちわ、爪川です

6月21日にWorld Rugbyが新しい脳振盪からの競技復帰プロトコルを発表しました

これは2022年7月1日からエリートレベルでの試合や大会に施行され、日本では例えばリーグワンの試合などが対象になります

今回はその中身をWorld Rugbyの発表から見ていきたいと思います

ワールドラグビー:脳振盪から競技復帰プロトコルの変更点

大きな変更点は以下の2つです

①脳振盪から試合復帰までに必要な日数→多くの場合は12日間

②脳振盪受傷から7日より前の試合復帰が不可

①脳振盪から試合復帰までに必要な日数→多くの場合は12日間

今までは脳振盪を受傷した選手は段階的復帰プロトコルに則ってリハビリを行い、早ければ翌週の試合に出場することが出来ました(シーズン中のラグビーの試合は週に1回のみ行われます)

ただし、新しい脳振盪プロトコルでは選手個人の状態によって最低限の休養日数が変わってきます

多くの場合はこの最低限の休養日数が12日間となります

つまり、脳振盪を受傷した場合、多くの選手は翌週の試合には出場不可となります

では、どのような選手だと最低でも12日間の休養が必要になるのでしょうか?

以下の3つに当てはまる選手の場合は最低休養日数が12日間となります

1 以前に脳振盪になったことがある(脳振盪の既往歴がある)

2 HIA1の検査で陽性

3 HIA3の検査で陽性

参照資料より

1 以前に脳振盪になったことがある(脳振盪の既往歴がある)

脳振盪と診断された選手が以前にも脳振盪を受傷したことがある場合、自動的に最低休養日数が12日間となります

これらの選手はHIA3の検査を試合から36時間後に実施し、個人別のリハビリテーションを試合から72時間経過してから開始します(HIA3に関しては後述します)

これらの選手が12日目で(最短で)試合に復帰する場合は独立した脳振盪コンサルタントの承認が必要です

(独立した脳振盪コンサルタントとはWorld Rugbyに基準に沿ったチームドクター以外のラグビー選手の脳振盪に精通した医師です)

2 HIA1の検査で陽性

HIAとはHead Injury Assessment(頭部外傷アセスメント)の略で、ラグビーのエリートレベルの試合で行われる頭部などの怪我のチェック体系です

このチェックはHIA1、HIA2、HIA3の3部から構成され、HIA1は頭部の怪我が起きた直後のチェック、HIA2は頭部の怪我が起きた試合直後の試合会場を離れる前のチェック、HIA3は頭部の怪我が起きた試合から36時間後のチェックです

このチェック体系の中で、もしHIA1で陽性の場合は自動的に最低休養日数が12日間となります

多くの場合、HIA1で陽性というのは明らかな脳振盪やそれよりも重症度の高い頭部の怪我を疑わせる兆候を示している場合なので(例えば意識が失うなど)、このような場合は今までよりも長い休養期間が必要とされました

このような選手もHIA3の検査を試合から36時間後に実施し、個人別のリハビリテーションを試合から72時間経過してから開始します

これらの選手の最も早い試合復帰は脳振盪を受傷してから12日目です

3 HIA3の検査で陽性

HIA3とは前述の通り、頭部の怪我が起きた試合から36時間後に行うチェックです

このHIA3で脳振盪の症状や身体機能、脳機能の異常などが確認されれば最低休養日数が12日間となります

その後の復帰プロトコルは<2 HIA1の検査で陽性>と同じになります

<最低休養日数が12日間とならない場合>

新しい脳振盪プロトコルでは多くの選手で最低休養日数が12日間となるかと思いますが、脳振盪と確認されても受傷から7日目で試合復帰が認められる場合もあります

7日目で試合復帰出来る条件は以下の3つです

① 今まで脳振盪になった事がない事

② HIA3の検査が陰性

③ 独立した脳振盪コンサルタントによる承認がある

もちろん、これに併せて個人別の段階的競技復帰プロトコルに沿ってリハビリを行い、それらが全て問題ないという事も必要です

②全ての選手は脳振盪受傷から7日より前の試合復帰が不可になる

今までは脳振盪を受傷しても、成人であれば受傷から最短6日目の試合に復帰することが可能でした

つまり、土曜日の試合で脳振盪を受傷しても、最短で次週の金曜日の試合には出場することが出来ました

ですが、新しい脳振盪プロトコルではどの選手も6日目での試合復帰は不可になります

また、7日目での試合復帰は可能ですが、それも上述のように独立した脳振盪コンサルタントの承認などの条件があります

注意

このWorld Rugbyの発表は日本語でも英語でも確認しましたが、いくつか私の勘違いや理解不足で解釈が間違っている箇所もあるかもしれませんので、それはご了承ください

私が今持っている疑問点も併せてここで書いておきたいと思います(これらは今後より詳細な発表があるのかな?と思います)

・脳振盪から試合復帰する際に、全ての選手が独立した脳振盪コンサルタントの承認が必要なのか?それとも最短で試合復帰する選手だけ必要なのか?原文では全ての選手となっていますが、現実問題それが出来るのか?

(ちなみに私が確認できたところでは、2021年時点で日本ではこの独立した脳振盪コンサルタントは神奈川に1名しかおりません)

・World Rugbyが発表した内容の文章にはありませんでしたが、動画内ではHIA3の時の症状の数や強さも最低休養日数を定める際に考慮するとありました。この時の症状の数や強さは具体的にはどうなのか?

まとめ

今回のWorld Rugbyの新しい脳振盪プロトコルによって多くの選手は回復により日数を掛けることになります

ただその変更点よりも、動画を見ているとより強調されているのは「脳振盪の復帰プロトコルやリハビリ」に関して「個人別にアプローチする」という内容でした

脳振盪になったことがある選手やその症状が強い選手は休養期間を長くし、且つ”Individualized Rehab”(個人別のリハビリテーション)を行うという文言が書かれています

これは、特にエリートレベルになってくると選手は脳振盪も含めて多くの怪我を経験しており、メディカルの体制が整っているはずのエリートレベルでは画一的なアプローチでなく個人別に対応していかなければならないと強調しているように感じます

今回は以上となります

最後までお読みいただきましてありがとうございました

参照資料

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