アメフトでの頭部からのコンタクトを減らす!NATA Position Statementより14の推薦事項

文献など

はじめに

脳振盪を含む頭や首などの怪我は頭部への直接の衝突で起きる場合が多いです

そしてアメリカンフットボールの様な相手選手の体と自分の体の「衝突」が前提となっている競技では、適切なテクニックで競技動作を行うことが頭部や脳を守る為には重要です

反対に適切でないテクニックは非常に危険な場合があります

アメリカンフットボールの中で頭部への怪我のリスクを増やす適切とされていないテクニックの1つが”Head-First Contact Behavior”です

これはタックルやボールキャリアー、もしくはブロックなどを行う選手が頭部から身体を当てにいく行動を指します

アメリカンフットボールではヘルメットを着用しているのでタックルの際にヘルメットの最頂部から相手にタックルしたり、または頭を下げて相手に当たりにいく状況を想像して頂けるとわかりやすいかと思います

このようなHead First Contact(頭部からのコンタクト)は頭や首の怪我のリスクを上げることが知られています

ですので、頭から直接当たりにいくようなタックルやブロックを少なくする為に多くの施策が行われてきました

ただ、依然として頭部からのコンタクトはアメリカンフットボールではよく見られる現象です

そしてこの事を改善する為にNational Athletic Trainers’ Association(NATA)というアメリカのアスレティックトレーナーの統括団体がPosition Statement(公式声明)を新しく発表しました

※Position Statementとは何かについてこちらのページがわかりやすく説明しています(NSCAジャパン ポジションステイトメント)

この公式声明の中で「頭部からのコンタクトを減らす為の14の推薦事項」がありますので、今回はそれを見ていきたいと思います

アメフトでの頭部からのコンタクトを減らす!NATA Position Statementより14の推薦事項

基本情報

・14の推薦事項は大きく4つのグループに分けられています

・4つのグループは以下となります

1 教育と運営

2 スキル向上と行動修正

3 ルールと規則

4テクノロジーと科学的研究

※日本語訳になるので私の意訳が含まれています

1 教育と運営

推薦事項1

アメリカンフットボールにおける頭部からのコンタクトの危険性とそれに伴う頭や首の怪我のリスクについて、選手に対して最新の知見に基づいた教育を作成し受講させる

推薦事項2

アメリカンフットボールにおける頭部からのコンタクトを教示・指導・許可することの危険性とそれに伴う頭や首の怪我のリスクについて、全ての競技レベルのコーチ(育成年代も含む)に対して文書化した教育を作成し受講させる

推薦事項3

アメリカンフットボールにおける頭部からのコンタクトの危険性やメカニズムとそれに伴う紅白戦や試合時に審判業務について、全ての競技レベルの審判員に教育を作成し受講させる

推薦事項4

参加選手に未成年が含まれるような競技団体は、親や保護者に頭部からのコンタクトを減らす施策やそれによって起こりえる事故に関して定期的にコミニュケーションを取り合うべき

推薦事項5

コーチ、ストレングス&コンディショニングスペシャリスト、運営責任者、アスレティックトレーナー、チームドクター及び競技団体の管理者などは定期的に集まり、アメリカンフットボール選手の頭部からのコンタクトを減らす施策に関しての議論、実施、批評を行うべき

2 スキル向上と行動修正

推薦事項6

コンタクトを含むアメリカンフットボールを始める前に、ボールキャリー・タックル・ブロック時に頭部からのコンタクトとならない様に科学的根拠のある漸進的な技術指導を行う

推薦事項7

全ての競技レベルにおいて、アメリカンフットボールでの頭部からのコンタクトをしっかりとやめる為に適切なタックルとブロックの技術を完全に習得するまで指導し、その技術を維持できる様に強化する

3 ルールと規則

推薦事項8

フルコンタクトでの練習は頭部からのコンタクト行動の機会を増やすことから、各週でその時間を管理し、適切なタックルやブロック技術の習得・維持・強化に年齢に適した内容で十分な時間を充てられるようにする

推薦事項9

適切で安全なタックルやブロック動作や技術の強化に繋がらないアメリカンフットボールの練習を修正・削除し、練習体系を変える

推薦事項10

全ての競技レベルの全選手に対して、頭部からのコンタクト行動・スピアリング・ターゲッティングなどに関して一貫して罰則や罰金を課す

4 テクノロジーと科学的研究

推薦事項11

ヘルメット製造会社やヘルメットに付随・追加出来る製品を製造する会社はそれらの怪我予防の効果(それ故にリスクが高い行動に繋がる)を過剰に宣伝する場合があることを認識する

推薦事項12

頭部からのコンタクト動作の修正やその動作の特定の補助ツールとして、頭部への衝撃の監視システムや動画ツールの使用を検討する

推薦事項13

選手に対して頭部からのコンタクトを避ける為に防具や技術の効果を教育する

推薦事項14

高レベルな科学的研究を実施している全ての利害関係者に、アメリカンフットボールにおける頭部への衝撃の減少に繋がると考えれらている施策・技術・テクノロジーのテストや検証に取り組んでもらう

終わりに

アメリカンフットボールなどの衝突を伴うスポーツは偶発的に頭部へ衝突が起きてしまう時もありますが、意図的な頭部からのコンタクトはしない・させない事が大切になってきます

その為にも選手やコーチ・関係者への教育、頭部からのコンタクトは避けるべきものという認知の徹底、ルールの厳格化などが必要なことかと思います

本日も最後までお読みいただきましてありがとうございました

参照資料

Swartz EE, Register-Mihalik JK, Broglio SP, Mihalik JP, Myers JL, Guskiewicz KM, Bailes J, Hoge M. National Athletic Trainers’ Association Position Statement: Reducing Intentional Head-First Contact Behavior in American Football Players. J Athl Train. 2022 Feb 1;57(2):113-124. doi: 10.4085/1062-6050-0062.21. PMID: 35201304; PMCID: PMC8876879.

NSCAジャパン ポジションステイトメント

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