ラグビー6カ国対抗戦でのウェールズの選手への頭部外傷対応

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ラグビーウェールズ代表選手への頭部外傷対応についてのニュース

こんにちわ、爪川です

今回はラグビーの6カ国対抗戦という国際試合で起きた出来事について伝えたニュース記事を見ていきたいと思います

(ニュースの元記事はこちら)

このニュースでは以下のことを伝えています

①ウェールズ対イングランドのラグビーの試合でウェールズ代表の背番号3番トーマス・フランシス選手が試合中に頭部外傷を受傷したように見えたが、一時退場してマッチデードクターのチェックをした後に問題なしとの判断を受けてその試合に復帰し、後半途中まで競技を続けた

(マッチデードクターとは公式戦の際に両対戦チームとは関係のない第3者の医師のことです。この医師が頭部外傷疑いの選手のチェックをします)

②試合後に”Head injury review panel”(直訳では頭部外傷調査委員会)がフランシス選手の件を調査したところ、本来のラグビーの試合中での頭部外傷に対してのルールではすぐさまフィールドから退場して試合には戻るべきではなかったと報告した

③Head injury review panelはこの選手への対応は誤った判断だっとしたが、当日の現場ではこの誤った判断に繋がる多くの要素があった。また、Head injury review panelは試合中のプレッシャー(match day pressure)や時間の制限などもなくフランシス選手の状態を確認出来たので当日の判断が誤りだったと結論づけられた

④Head injury review panelでは当該メディカルスタッフへの懲戒処分などは考えていない

⑤この事案を再度起こさないようにする為の施策の多くは既にワールドラグビーのガイドラインに記入されているが、それに加えてそれぞれの大会や試合で選手の状態が確認出来るようにカメラの数やスクリーンの大きさなどは改善の余地がある

つまり、非常にシンプルに言えば「脳振盪の疑いで退場させるべき選手がそのまま試合に復帰してしまっていた」というような内容です

ラグビーの公式戦では”Head Injury Assessment”(HIA)という標準化された頭部外傷の対応ツールがあります。そのHIAでは「このような状態や症状が見られたらすぐさま選手を退場させ、その試合には復帰させない」というような基準があります

今回のフランシス選手の件ではその基準に該当する状態が見られたので、本来であればすぐに試合から退場させてその試合には復帰させるべきではありませんでした

ただ、実際にはフランシス選手はその試合に復帰し後半途中まで競技を続けました

問題のシーン

以下のYouTubeビデオにフランシス選手の受傷シーンがあります

怪我のシーンが流れるので視聴にはご注意ください

受傷シーンは5分17秒頃から再生してください。赤いジャージを着たウェールズの選手が同時に2人倒れますが、フランシス選手(背番号3番)は奥の方です

England v Wales | Extended Highlights | 2022 Guinness Six Nations

この角度から見ると赤いジャージ背番号3番のフランシス選手の状態がよくわかります

一瞬意識を失っているようにも見えますし、立ち上がる際にもよろけたり、立った後もゴールポストによたれるようになるシーンもあります

確かにこのビデオを見ると頭部外傷疑いで試合には復帰しない方が良かったのかと思いますが、現場で何が起きていたのかは現場でしかわからないこともあります

ちなみにこのトーマス・フランシス選手はイングランド戦の2週間後に行われた次戦フランス戦でも先発出場しています

参照資料

Injury panel finds Wales’s Francis should have gone off against England

Youtube “England vs Wales” Extended Highlights 2022 Guinness Six Nations

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