こんにちわ、爪川です
今回の記事では脳振盪後24-48時間以内に現れる症状を4つのサブグループに分類し、どういった要素が症状の悪化に繋がるかを調べて研究を見ていこうと思います
脳振盪:症状別サブグループと症状を悪化させる要素
前提
脳振盪を受傷するとさまざまな症状が発生することが知られています
例えば「頭痛」や「めまい」といったものから、「感情的になる」「悲しくなる」といった感情面のものも含まれます
現にSCAT5と言うスポーツで起こる脳振盪の評価ツールでは確認する症状の数は23個もあります
このように脳振盪と言っても症状は様々なので、脳振盪に対する治療やリハビリは「脳振盪自体」ではなく「脳振盪によって起こる症状」に対して行われるべきと考えられています
ただし23個全てに対して別々に行うのは現実的ではないので、症状によっていくつか大きなサブグループに分類するやり方が一般的です
いくつのサブグループに分けるかの統一見解はありませんが、今回見ていく記事では脳振盪の症状を4つのサブグループに分けています
そしてどのような要素が症状の悪化につながるかを調べています
4つのサブグループ
この研究では脳振盪後の症状を4つのサブグループに分けており、それらは以下となります
- Vestibular Cognitive(前庭性、認知性)
- Migrainous(偏頭痛性)
- Cognitive Fatigue(認知性、疲労性)
- Affective(感情性)
これらのデータはアメリカの23の大学と4つの軍大学(military academies)に所属する大学生アスリートを対象に、脳振盪受傷後24−48時間以内のSCAT3の症状を基にしています
それゆえにこれらの症状は全て急性の症状にも基づいています
サブグループ別:症状を悪化させる要素
4つのサブグループ全てで症状を悪化させる要素がありました。それらは以下となります
- 女性
- SCAT3評価前日の睡眠不足
- 脳振盪の報告の遅延
- 脳振盪の受傷もしくは疑いの後に、競技を続けたりすぐにメディカルスタッフに報告していないケースを指します
- 練習やトレーニング、スポーツ以外での脳振盪の受傷
- 練習やトレーニングではメディカルスタッフがいない場合、スポーツ以外では交通事故なども含まれます(被験者は全て大学生アスリートですが、競技以外の受傷でもカウントされています)
また、4つのサブグループ別に症状を悪化させる要素は以下となります
- Vestibular Cognitive(前庭性、認知性)
- 抑うつ傾向
- 健忘症
- Migrainous(偏頭痛性)
- 偏頭痛の既往
- 健忘症
- Cognitive Fatigue(認知性、疲労性)
- Affective(感情性)
- 偏頭痛の既往
- 抑うつ傾向
その他
ちなみにこの研究の被験者数は1000名を超えており、大学生アスリートの脳振盪受傷後24-48時間でのSCAT3の評価ではどのような症状がどの程度の強度で起きているかもわかっています
ここでは症状が強い順で上位5つを記載しておきます
症状の強さは0-6で評価されており、0が無し、6が最も強いことを指し、下記の症状の強さは全てのデータの平均値です
- 頭痛:2.27
- 頭部が締め付けられる:1.95
- 何かおかしい:1.74
- 疲れている、やる気が出ない:1.65
- 動作が遅く感じる:1.60
まとめ
今回のまとめです!
- 大学生アスリートの脳振盪の急性症状を4つのサブグループに分類
- Vestibular Cognitive(前庭性、認知性)
- Migrainous(偏頭痛性)
- Cognitive Fatigue(認知性、疲労性)
- Affective(感情性)
- 全てのサブグループで症状を悪化させる要素
- 女性
- SCAT3評価前日の睡眠不足
- 脳振盪の報告の遅延
- 練習やトレーニング、スポーツ以外での脳振盪の受傷
- サブグループ別での症状を悪化させる要素
- Vestibular Cognitive(前庭性、認知性)
- 抑うつ傾向
- 健忘症
- Migrainous(偏頭痛性)
- 偏頭痛の既往
- 健忘症
- Cognitive Fatigue(認知性、疲労性)
- Affective(感情性)
- 偏頭痛の既往
- 抑うつ傾向
- Vestibular Cognitive(前庭性、認知性)
参照資料
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