脳振盪からの回復が遅かった学生アスリートの特徴

文献など

アメリカ産アスレティックトレーナー(ATC)
スポーツ中の脳振盪に関して時々ブログ更新中。
脳振盪に関する情報やお悩み解決のお手伝いになれば嬉しいです。

Yoshihiko TKをフォローする

こんにちわ、爪川です

今回の記事ではアメリカの研究より「脳振盪からの回復が遅かった学生アスリートの特徴や復帰時期」に関する内容を見ていこうと思います

脳振盪からの回復が遅かった学生アスリートの特徴

多くの場合、脳振盪は大人であれば約2週間、子供の場合は約1ヶ月で回復していきます

ですがそう言った一定の期間以上に症状が長引き、数ヶ月、さらには数年に渡って症状が残る場合もあります

今回見ていく研究では、アメリカの大学生アスリート(部活動に入っている選手)で脳振盪を受傷した述べ1751名のデータから、回復具合、学業とスポーツへの復帰時期、回復が遅かった場合の復帰時期やそう言った選手の特徴などを探っています。

研究概要

  • 2014年秋〜2018年春までの期間で、26の米国の大学か軍士官学校に在籍した大学生アスリート34,709名を対象として調査を実施
  • この期間中、合計3,361件の脳振盪が発生
  • 3,361件のうち、1,751名を調査
    • 除外されたアスリートはベースラインのスコアがない、競技中の受傷ではない、同一人物で2回目以降の受傷の場合等の理由
    • 1,751名に脳振盪の既往歴はなし
      • ただし、医師の診断済みの脳振盪ではなく自己申告による脳振盪の既往がある選手は含んでいる
  • 「回復が遅い(Slow Recovery)」の定義は
    • 安静時の症状が受傷後14日以上続く場合
    • 受傷後24日以内に競技への完全復帰ができなかった場合
    • もしくはその両方

結果

  • 回復が遅かったアスリート数:399名(22.8%)
    • 安静時の症状が14日以上続いた:79名
    • 24日以内に競技への完全復帰ができなかった:71名
    • もしくはその両方:249名
  • 回復が遅かったアスリートの特徴
    • 女性
    • 練習で脳振盪を受傷
    • 初期評価時のSCAT(Sport Concussion Assessment Tool)の症状が強い
      • 回復が遅かった群:比較群=36.62:25.4
    • 初期評価時のSAC(Standardized Assessment of Concussion)のスコアが低い
      • 回復が遅かった群:比較群=25.74:26.26
    • 初期評価時のBESS(Balance Error Scoring System)の合計スコアが悪い
      • 回復が遅かった群:比較群=17.81:15.91
    • 脳振盪受傷日から14日以内の評価の頻度が低い
      • 脳振盪受傷日から14日間、患者はメディカルスタッフにその日の状態を毎日報告する必要があり、それに14日間従った選手の割合
      • 回復が遅かった群:比較群=48.84:67.93
    • 初期評価時のBSI(Brief Symptom Inventory)のsomatic, anxiety, depression, global severityのスコアが高い
      • ただし約半数の回復が遅かった選手からのBSIは欠落しているので、結果が違う可能性もあり


  • 回復が遅かったアスリートの回復時期
    • 競技への完全復帰にかかった日数:34.7日(中央値)
    • 回復が遅かったアスリート全体の77.6%は60日以内に復帰
    • 回復が遅かったアスリート全体の83.4%は88日以内に復帰
  • 3ヶ月以上回復に時間がかかったアスリートにおいて、最終的に競技への完全復帰にかかった日数:187.1日(中央値)
  • 回復が遅かったアスリートのうち、脳振盪受傷から180日以内に競技へ完全復帰出来ていない割合:10.6%
    • これは全体(1,751名)の2.4%

まとめ

今回のまとめです!

  • アメリカの大学生では、脳振盪を受傷すると約5人に1人は「回復が遅い(Slow Recovery)」のグループに入る
  • 回復が遅かったアスリートの特徴は「女性、練習で受傷、初期評価時の症状が強い、受傷後の日々の状態チェックへの遵守率が低い」ことが挙げられます
  • 回復が遅かった選手では約8割は3ヶ月以内に競技復帰を果たしますが、約1割は180日以内では競技復帰が出来ず、その割合は1,751名全体では2.4%です

参照資料

McAllister TW, Broglio SP, Katz BP, Perkins SM, LaPradd M, Zhou W, McCrea MA; Concussion Assessment, Research and Education (CARE) Consortium. Characteristics and Outcomes of Athletes With Slow Recovery From Sport-Related Concussion: A CARE Consortium Study. Neurology. 2023 Jan 18:10.1212/WNL.0000000000206853. doi: 10.1212/WNL.0000000000206853. Epub ahead of print. PMID: 36653178.

解剖学ブログのご案内

このブログの他にも解剖学に特化したブログも行っています

そちらもご覧いただければ幸いです😄

しっかりアナトミー
知れば知るほどオモシロイ

店舗のご紹介

私が経営している店舗のご紹介です

東京都文京区にてリコンディショニグ、競技復帰へのリハビリ、パーソナルトレーニング、脳振盪リハビリなどを行っています

文京区白山:パーソナルトレーニングなら有資格者在勤のCALANTスポーツリハビリ&パフォーマンス
文京区白山・春日・後楽園・東大前でパーソナルトレーニングやリコンディショニングならCALANT白山!安心のトレーニング資格保有者、多彩な経験、運動生理学修士号の知識で貴方の本来の身体を取り戻すお手伝いをします!

コメント

タイトルとURLをコピーしました