はじめに
こんにちわ、爪川です
脳振盪を受傷するとその後に競技復帰を無事に果たせたとしても、下半身の怪我の発生率が高くなる事が近年の研究で報告されています
つまり脳振盪の受傷歴は下半身の怪我のリスクを上げる可能性があります
ただ、「下半身の怪我のリスクを上げる」と言っても、「どの程度のそのリスクを上げるのか」はわかっていません
ですので今回の記事では、「脳振盪後ではどの程度下半身の怪我の発生率が上がるのか」を数値化した文献を見ていきたいと思います
脳振盪後に下半身の怪我の発生率はどの程度上がるのか?
基礎情報
・この文献は2022年1月に発表されたものなのでかなり新しい文献となります
・これはシステマティックレビューと呼ばれる文献の種類で、他の数多くの研究の”まとめ版”のようなものです
研究方法
・脳振盪後の下半身の怪我の発生率についての研究を調査しまとめる
・合計13本の研究で延べ4349名のアスリート(平均年齢19.8歳、男性88.1%、女性11.9%)の脳振盪後の下半身の怪我の発生率を調査
・4349名のアスリートの内訳は高校生が46.1%、大学生が17.0%、プロが36.9%
結果
・脳振盪から競技復帰後90日以内では下半身の怪我の発生率が1.47-4.69倍
・脳振盪から競技復帰後1年以内では下半身の怪我の発生率が1.64-3.16倍
・高校生→大学生→プロと競技レベルが上がるほど、脳振盪後の下半身の怪我の発生率は上昇
・NFL(アメリカのプロアメリカンフットボールリーグ)のアスリートを対象とした研究では、脳振盪の受傷回数が多いほど、下半身の怪我の発生率も高くなる(脳振盪1回で1.59倍、2回で2.29倍、3回で2.86倍)
・下半身の怪我の発生率の増加に男女差はなし(ただし研究数も少ない)
まとめ
脳振盪の受傷歴は下半身の怪我の発生率を上げるという報告がされていましたが、今回はその具体的な数値を出した文献を見ていきました
この文献では脳振盪から競技復帰後、90日以内や1年以内では下半身の怪我の発生率が約1.5-4倍程度になると報告しています
また脳振盪の回数が多いほど、且つ競技レベルが高いほど下半身の怪我の発生率が上がることも示唆されています
なぜ脳振盪後に下半身の怪我の発生率が高くなるのかというのはまだはっきりとはわかっていません
可能性としては”運動パターンの変化”や、脳振盪によって一定期間トレーニングが制限されることによる”ディコンディショニング”なども関係しているかもしれません(運動パターンの変化については別記事で取り上げています、こちらをクリックしてください)
本日も最後までお読みいただきましてありがとうございました
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