リアクションの検査:ドロップスティックテスト

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こんにちわ、爪川です

今回の記事ではドロップスティック(Drop Stick)テストについて見ていこうと思います!

リアクションの検査:ドロップスティックテスト

ドロップスティックテスト(Drop Stick)とは?

ドロップスティックテストとはこの動画の様に、棒(スティック)をランダムなタイミングで落としてそれをキャッチするテストです

※この動画内では私自身がスティックを落とす→キャッチをしていますが、実際は落とすのは他人がランダムなタイミングで行います

棒ではなく定規で行う場合もあります

このテストでは見た目の通りに「棒が落ちた時にいかに素早く反応出来るか」をチェックしますが、最初の位置から棒をキャッチした位置の差から「反応時間」も計測出来ます

このようにどの程度の位置で棒を握れたかの長さが分かれば、その値を以下の方程式に当てはめます(参照資料1)

これによって反応時間(ms:ミリ秒)が導き出せます

ドロップスティックテストに関する研究

脳振盪後では様々な脳機能に低下が見られますが、そのうちの1つに「反応」があります

それゆえにこの「ドロップスティックテスト」に関しても脳振盪の受傷者を対象とした研究が行われています

ここではいくつかの研究を見ていきたいと思います

研究1

最初に見る論文は2014年に発表されたものです

参照資料2

この研究では計26名の大学生と高校生アスリートを対象としてドロップスティックテストを脳振盪受傷の前後で実施しています

脳振盪受傷前はベースライン検査として実施し、受傷後は48時間以内に検査しています

また、コントロール群として28名の非脳振盪受傷者にも同様にドロップスティック検査を実施し、そのスコアとの比較も行っています

結果として、脳振盪受傷者のドロップスティックテストではベースラインの数値(203ms±22)よりも受傷後の数値(220ms±29)が有意に遅くなっていました(p=.003)

研究2

次の論文は最近の論文です

参照資料3

この研究では脳振盪を受傷した12-18歳、計27名を対象としています

被験者を対象として脳振盪受傷後にドロップスティックテストを含んだ4種類の反応に関する検査を実施します

そして最初の検査から約28日後に再度検査を行い、その数値を比較します

コントロール群として非脳振盪受傷者21名も同様のテストを行います

結果は脳振盪受傷者ではコントロール群と比較して、1回目の検査時にドロップスティックテストともう1つのテストで有意な差がありました

そして28日後の検査でも、脳振盪受傷者はコントロール群と比較してドロップスティックテストに加えて2つのテストでも有意な差がありました

また、28日後の検査では脳振盪受傷者は症状が回復しており、同時に行われた診察での競技復帰の許可も兼ねている回復具合でした

まとめ

今回のまとめです!

  • ドロップスティックテストは棒や定規などを使用したシンプルなテストで、その結果から「反応時間」を計測可能
  • 脳振盪受傷者は瞬発的な反応に機能低下がある場合がある
  • 脳振盪受傷者を対象としたドロップスティックテストの研究では、脳振盪受傷後や症状の回復後にもドロップスティックテストの数値に有意な差が見られた

参照資料

1 Barnes A, Smulligan K, Wingerson MJ, Little C, Lugade V, Wilson JC, Howell DR. A Multifaceted Approach to Interpreting Reaction Time Deficits After Adolescent Concussion. J Athl Train. 2023 Jan 27. doi: 10.4085/1062-6050-0566.22. Epub ahead of print. PMID: 36701688.

2 Eckner JT, Kutcher JS, Broglio SP, Richardson JK. Effect of sport-related concussion on clinically measured simple reaction time. Br J Sports Med. 2014 Jan;48(2):112-8. doi: 10.1136/bjsports-2012-091579. Epub 2013 Jan 11. PMID: 23314889; PMCID: PMC3732515.

3 Barnes A, Smulligan K, Wingerson MJ, Little C, Lugade V, Wilson JC, Howell DR. A Multifaceted Approach to Interpreting Reaction Time Deficits After Adolescent Concussion. J Athl Train. 2023 Jan 27. doi: 10.4085/1062-6050-0566.22. Epub ahead of print. PMID: 36701688.

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